InstallShield

02105 : パッチ作成時の対象バージョン指定方法

パッチ形式のアップグレードインストーラの作成時に、パッチの対象バージョンとなる製品を指定する方法についてです。

対象製品:InstallShield 12 以降
対象プロジェクト:基本の MSI, InstallScript MSI


[概要]

InstallShield にてパッチ形式のアップグレードインストーラを作成する場合、パッチの対象となる旧バージョンの製品を
明確に指定する必要があります。 旧バージョンの指定方法としては以下の二つの方法があります。


A. 旧バージョンのMSIを個別に指定する方法

 [パッチのデザイン]ビューにて、パッチの適用対象となる旧バージョンの MSI ファイルをそれぞれ別途指定する
 方法となります。複数のバージョンをターゲットにしたパッチを作成する場合の一般的な方法です。
 
 この方法の場合、パッチは内部的にそれぞれの旧バージョンに対する差分を格納するため、指定したすべてのバージョンに
 対してパッチの適用が可能になります。 

 例: 以下の構成のインストーラにて、最新版のSP3(Version 1.3)のパッチを作成

 RTM:Version 1.0
 SP1:Version 1.1
 SP2:Version 1.2
 SP3:Version 1.3

 SP3(Version 1.3) のパッチを作成する際に、対象として RTM,SP1,SP2 をそれぞれ指定します。 各バージョンに対する差分がパッチに
 格納されるため、RTMバージョン以降の各バージョン( SP1,SP2 ) に対してもパッチの適用が可能です。




B. MinorUpdateTargetRTM プロパティを使用する方法

 MinorUpdateTargetRTM プロパティを使用した場合、パッチには指定した特定の旧バージョンとの差分のみの情報が
 格納されます。パッチの適用対象とされる旧バージョンに対して、既に別のパッチが適用されている場合、適用されている既存の
 パッチをすべてアンインストールしてから、最新のパッチが適用される動作となります。

 例: 以下の構成のインストーラにて、最新版のSP3(Version 1.3)のパッチを作成

 RTM:Version 1.0
 SP1:Version 1.1
 SP2:Version 1.2
 SP3:Version 1.3

 SP3(Version 1.3) のパッチを作成する際に、RTM(Version1.0)のみを適用対象として指定します。SP1,SP2 が既に適用されている環境
 では、それらのパッチをアンインストールしてから、最新版 SP3 のインストールを行う動作となります。



※ B.の構成の場合、実行時の動作がシンプルになるため、複数世代をサポートするパッチ間の整合性が取れなくなって
   しまったケース(実行時にエラーが発生してしまう) 等でも有効な構成方法となります。



各設定の比較

  旧バージョンのMSIを指定する

MinorUpdateTargetRTM
プロパティを使用する

 要件  Windows Installer 3.0 以降  Windows Installer 3.1 以降
 メリット  パッチ適用時の時間が短縮できる  パッチ自体のサイズを最小化できる
 デメリット  パッチ自体のサイズが大きくなる  パッチ適用時の時間が増大する

 


[設定方法]

A. 旧バージョンのMSIを個別に指定する方法

 FAQ 「ID01559: パッチ (Update.exe)の作成方法」 のダウンロード資料を参照

B. MinorUpdateTargetRTM プロパティを使用する方法

 1. [メディア]-[パッチのデザイン]ビューにて、パッチのエントリ(PatchConfiguration1 等)を選択します
 
 2. 右のビューにて[詳細]タブを選択します
 
 3. [ランタイム設定]-[MinorUpdate TargetRTM プロパティ]を「はい」に設定します

 4. 以前のバージョンとして指定する MSI ファイルは特定の RTM バージョン(メジャーバージョン)に固定する


[備考]

参考 URL

Cumulative Service Packs with MinorUpdateTargetRTM


Patch,msp,Update.exe,Prev
2012/05/24 15:31:02
2017/10/25 15:08:35